つい最近、
版元がかわって再販になっていたことを知りました。
10年以上前に一回だけDVD販売されただけで、
手に入れることが事実上不可能だった作品。
映画好きの評価と、発売元の評価がここまで差のある作品も、
そうありませんでした。
結果、DVDは5万くらいまで値をつける業者まで出てくる始末。
まあ、買う人がいるとも思えませんでしたが。
「エロティクスF」のお題で、
「好きな映画3本」(実際には5本答えましたが、)の中に入れませんでしたが、
それはこの作品の扱いがそんなだったからです。

さて、
よく、「料理映画の傑作」と評される本作ですが、
それはこの映画のほんの一部をかじっているにすぎません。
「宗教」とか「料理」とか本作を彩る素材・調味料はいろいろありますが、
それを超えたところに、この作品の魅力はあります。
今回のDVDにはブックレットとして監督のインタビューが付いています。
そこでも同様のことが語られています。
繰り返し言いますが、
この映画において「料理」はどうでもいい要素です。
「料理」を超えた部分をじっくりと味わってください。
また見てきました。
「また」ということは、2回目以上ということですね。
2回目です。
最近は環境的に、映画に行きにくくなったので、
これ以上、劇場で見られるかビミョーですが、
何とか、もう一回は行きたいところです。
とにかく、もう、あんぐり。
どうやったら、あの脚本を作ることができるのか、
本当にもうさっぱりわかりません。
神のみわざ、絶妙なバランス感、鋭利な刃の上を歩むが如く。
でもきっと興行的には、たいしたことにならないでしょう。
マテルのミニカーを買って、お布施することにします。
と思ったら、世間的には、結構、厳しい評価なんですね。
賛否まっぷたつ。
否定派の意見は、なるほどなあ、という感じ。
確かに、そのとおり。
この映画を見に行く時に、
何を期待しているかで評価がかなり変わりそうです。
ネタばれします。

今回のお話は、
メーター主役のスパイ物。
つまり、そういうことです。
マックイーンは脇役です。
まあ、宣伝でも言っているので、
ネタばれでもないですか。
この物語は、「カーズ」の正統的な続編の「カーズ2」ではなくて、
「カーズ」のサイドストーリー的な「カーズ2」です。
マックイーンのその後の物語を期待していた人には厳しいかな。
この話はカーズでやる必然性がない、というのも一理アリ。
でも、
「カーズ」は、マックイーンとメーターの物語であったので、
今回の主役がメーターであることは、
さほど違和感がありませんでした。
そして、スパイアクション物。
本来なら、「インクレディブル」とかでやるべきネタですが、
車自体がスパイ行為をすることによって、
スパイ物に欠かせないカーアクションに、
何のステップを踏む必要もなくダイレクトに入っていける、
その着想。
これは、カーズでこそやるべきネタだ、と思いました。
作り手側も、
如何にテーマが薄くなったとしても、
その魅力に抗しがたかったのかなぁ、と。
とにかく、カーアクション(?)がかっこいい。
本来、人がやるアクションまで車にやらせているわけなので、
ニヤリとするネタのオンパレード。
たしかに、
「死」に関しての話は、
ピクサー映画に期待するレベルが、
作り手側と観客でズレてきてるのかな、とは思います。
「インクレディブル」は、少し超えたかな、と思いましたし、
今回も「カーズ」でここまでやっていいのかな、と思いました。
だからこそ、
冒頭のキューブは、作り手側の意思表示だったんだと思います。
今回はここまでやりますよ、と。
子供向け、だからといって、
その世界から「死」を排除するのもおかしな気がするし、
「ニモ」のエンディングなんかを見るとわかるように、
ピクサーはもともとブラックなところをもつ制作集団ですし。
今回の「カーズ2」。
難しいテーマなんかは、バビュンと後方へ置き去って、
スピード感あふれる、映像の洪水に身をゆだねるのが吉、ですね。
大ネタのところに何箇所か、重大な突っ込みはありますが、無視。
それも後方へ置き去り。
個人的には、
パフュームとインディペンデンス級でオールオッケー。
まじめな評論、考察、無用。